桃夭    詩経  
  tao2 yao1      shi1 jing1


とっても素敵な女性向けの詩です。
また嫁ぐ娘を持つお父様にも
共感できるものがあるかもしれません。

詩経とは
漢詩の中で一番古いとされている、約三千年前に作られた詩集。 ほとんどが詠み人知らず。詩の形式は四字を四つ重ねた「四言詩」になっている。
桃夭

和訳

 

桃の夭夭(ようよう)たる
灼灼(しゃくしゃく)たり その華
この子 于(ゆ)き帰(とつ)ぐ
その室家に宜しからん

 

 


桃の夭夭(ようよう)たる
有(まこと)にふんたり その実
この子 于(ゆ)き帰(とつ)ぐ
その家室に宜しからん

 

 


桃の夭夭(ようよう)たる
その葉 蓁蓁(しんしん)たり
この子 于(ゆ)き帰(とつ)ぐ
その家人に宜しからん

 

解説

 

「夭夭」=若若しいさま
「灼灼」=燃え立つように咲いているさま
(「灼熱の恋」とも言いますね。)
「于」=〜へいく
「帰」=帰るべき所へ戻る、つまり嫁ぐこと
「室家」=嫁ぎ先の家

 

 

「ふん(pen1)」=今にも噴出しそうな状態
「家室」=第一章の「室家」と同じ意味
第二句の最後「実(shi2)」と「室(shi4)」で
韻を踏むので「家室」とした。

 

 

 

「蓁蓁」=ふさふさと繁っているさま
「家人」=嫁ぎ先の家族

 

分析
四字四句三章が詩経の基本形。この詩は、各章の前二句は、自然のことについて詠いながら 実は人間(嫁ぐ娘)を形容している。
意味
第一章:桃のその若々しい様よ、燃えるように咲くその花よ、
     (桃の花のような)この子は今お嫁に行く、嫁ぎ先にふさわしいお嫁さんになるでしょう。

第二章:桃のその若々しい様よ、まことにはちきれんばかりに実っているその実よ、
     (桃の花のような)この子は今お嫁に行く、 嫁ぎ先にふさわしいお嫁さんになるでしょう。

第三章:桃のその若々しい様よ、その葉はふさふさと茂っている、
     (桃の花のような)この子は今お嫁に行く、 とつぎ先の人々にもいいお嫁さんになるでしょう。
老板娘のコメント
この作者はどんな時にこの詩を詠んだんでしょうね。とってもきれいで、嫁いでゆく若い娘の初々しさがよく伝わってきます。 自分が結婚した時はこんな初々しさはなかったですけど(笑)、なんか、若さとか初々しさとか、いつまでもそんな気持ちって忘れたくないなって思います。