中国の和、静、怡、真について

 

和 ・・・ 中国茶道哲学思想の核心
 “和”は、儒教・仏教・道教の三つの宗教共通の哲学理念である。茶道が追求する“和”とは、万物はすべて陰陽二つの要素から成り立っており、その陰陽が協調し合って存在しているという思想である。


静 ・・・ 中国茶道修行に必要な道
 静かになって物事を考える。例えば・・・「この小さな小さな茶壷の中からどうやって宇宙を表現するか?」「この淡い淡いお茶の中からどうやって人生の品格を表現するか?」(そんなことを考えてお茶を入れたことはないが、ここまで考えながらお茶をたてれば、本当に天才だろうな・・・)
 中国茶道はまさに、茶事を通し、静かで落ち着いた雰囲気と静寂な心境を創造するものである。茶が静かに体の中に浸透していき、五臓六腑の隅々まで浸透していった時、静寂の中の大自然との融合を感じることだろう。(・・・ってここまで感じられたら神様だ。)

 

怡 ・・・ “怡”とは、穏やかで愉快であること
 中国茶道は、どんな階級の人間でも楽しむことができるもの。それは日常生活の中にあり、形式ばったものではない。地位が異なる者、信仰が異なる者、文化的階層が異なる者がそれぞれに求めることができるもの。
 お茶を飲みながら琴を弾き歌を歌い舞いを舞う、詩を詠み絵を描く、月を眺め花を観賞する。自然と共に一人で飲むもよし。これが、日本の茶道とは根本的に異なる精神のひとつである。



 中国人は簡単に“道”を語ることはしない。それは、“道”に対して“真実”を追究しているからである。“真”とは、中国茶道の起点でもあり、また最後の追究点でもある。

 三つの“真”
一. 道の真・・・心身共に養い、品格のある人生を求める。
二. 情の真・・・茶事を通して友人との真情を得、発展し、相互に真心の境地に至る。
三. 性の真・・・茶事を通し、自己を開放し、無我の境地に自己の心を置く。そうして自己の天性を
    開放すれば、真実の境地に至る。